僕の前を男女の二人が歩いていた。
よく見ると、ディズニーランドの制服を着ている。
いわゆる、キャストと呼ばれている人たちである。
ふと、男性の足がとまり、前かがみになって地面に手を伸ばした。
男性の指の先には、キャンディの包み紙がゴミとして落ちていた。
キャストの男性は、さりげなくそのゴミを拾うと、何事もなかったようにまた女性のキャストと会話をしながら一緒に歩きだした。
ほんの一瞬の出来事ではあったが、「う〜〜ん」と感心してしまった。
いわゆる、清掃担当の白いシャツを着ている人ではなく、エンジ色の制服を着ている人の行動であった。
『東京ディズニーランドでは、だれもが清掃担当なのです。』と昔読んだ本に書いてあったことを思い出した。まさしく、そのとおり。担当者でないのに、なんのためらいもなく園内に落ちているゴミを拾い上げる。そのスマートさからみて、普段から普通に行われている行為なのではないかと推測する。
園内には、何万人というゲストが入り、屋外売店などでポップコーンや食べ物を販売していて、さらにパレードとかストリートショーとかアトラクションの待ち時間等で同じ場所に留まることが多く、ゴミが非常に出やすい状況にあるにも関わらず、園内に落ちているゴミの量はすごく少ないと思う。おそらく日本の遊園地類なかでもトップクラスの綺麗さを保っているのではないかと。
もっとも、ホンマかいな!と、過大な期待をされても困るので言っておくが、落ちているゴミは皆無ではない。注意深くみていると、食べ損じたポップコーンなどのゴミが、少々は落ちているものである。
一方、こういうシーンも目にした。
前を歩いていた親子連れ。小さい子供が、食べ終えたお菓子の包み紙を手に持って歩いていて、おそらくごみ箱に捨てるつもりでずっと持っていたのではないかと思うのだが、その包み紙に気付いた母親が一言。
『早く、持っている紙屑を捨てなさい。すぐに掃除されるからそのままポイって捨ててもいいんだよ。』と・・・。
しばらくたって母親は、まだ大事そうに持っている子供から紙屑を取り上げると、丸めて地面にポイッ!。
「う〜〜ん」またもや、唸ってしまった。
もちろん、その行動に感心したからではない。なんで、「ゴミの落ちていない素敵な園内だから、私たちも汚さないようにしようね」と子供に言えないんだろうって。
『きれいな園内は心理的に汚しにくい、一方、ゴミが散乱している園内では、人はすぐにゴミを捨てがちである。だからきれいな園内を保つ努力を惜しまない。』
ディズニーランドのこのポリシーを、キャストがモチベーションを持ち続けながら維持し続けるには、今の日本ではかなり努力を要するんではないだろうか、ふと、この親子連れを見ながら考えてしまった1日でした。
え!?僕はゴミを積極的に拾っているかって?
もちろん!!
今年も、相変わらず屑株を拾ってますがな・・・。