30年以上前からその存在を知っていて、一度は見てみたいと思っていた長崎県にある島。その名前を軍艦島と言う。いや正式には端島と言うらしい。
この島へは上陸することができず、たんに見るだけの島だと思っていたのだが、どうやら観光上陸ツアーというものが2009年(平成21年)に開始されたようです。
そのことを知らないまま月日は流れ、仕事を辞めたあたりから『何度も長崎県に行っているのだから、一度は軍艦島のほうまで足を伸ばしてみようかな』なんて思っていましたが、ハウステンボスのみの滞在で終わっていました。
ところが、ひょんなことから今回そのチャンスが巡ってきましたので、思い切って長崎市に滞在している3日間を利用して3つの会社の上陸ツアーに参加してきました。
今回は、その3社の比較ブログになります。
それぞれの会社のツアーに参加して感じたことを備忘録として記載しますが、あくまで参加した当日の状況における、私の主観での感想であることをご承知おきください。
20日(木)シーマン商会 3600円(300円割引チケット利用)
21日(金)軍艦島コンシェルジュ 5000円(スタンダード・ミュージアム付)
22日(土)やまさ海運 4100円(ネット早割10適用)
本来であれば、ある程度3社の条件を合わせた上で比較したかったのですが、残念ながら22日に利用したやまさ海運の上陸ツアーは、波が高くて危険ということで上陸許可が下りず、さらに周遊もできずに帰港しています。
では、簡単ですがそれぞれのツアー会社を利用した感想を述べていきます。
★シーマン商会
値段が安い!割引券の300円はネットで入手することが可能。特に提示を求められなかったので、ネット予約だと常に3600円なのかも知れない。今回利用した3社の中で現金のみだったのはここだけ。当日、狭い船の中で受付を行っており、そこで支払う。乗り場は目立つので探すのに苦労はしなかった。受付締め切り時間までに桟橋に行き、名前を確認後に船の中に案内される手順。従って、待合室のようなものは無い。この待合室が設けられていないというのもこの会社だけだった。
参加者数は85名程度。3社の中では一番少ない。でも、人数が少ないので時間的にもゆとりがあって、写真を撮りながらマイペースで歩くことができた。また、スタッフさんもフレンドリーだったので、上陸中も話しかけやすかった。翌日、他のツアーに参加して上陸している時、シーマン商会のツアーと通路ですれ違った際に、スタッフさんが私の顔を覚えていて声をかけてもらったのも少人数制のツアーならではの事だろう。
上陸前に島の周りを一周する周遊サービスがある。この時、2階の展望台に登ることができ、ガラス越しではない景色が楽しめる。ただし、波が高くうねっている時は注意が必要だ。手すりにつかまっていないと、普通には立っていられない。しかも、波しぶきを浴びるのでカメラのレンズが汚れてしまう。この日は波もあったので、外にでてくる乗客が少なく、ベストポジションで写真撮影できたのは幸運だった。
上陸中の説明内容や途中のガイドの内容は可もなく不可もなし。ただ、音声が聞き取りにくいことがあったのは残念。
シーマン商会では、日付入りのオリジナル看板と共に上陸記念として集合写真を撮り、ホームページにアップされている。写真は無料でダウンロードできるので一人参加の私にとっては非常に有難いサービスだ。(※上の写真は白黒に加工し、鮮明度も下げています)
あと、船内ではおしぼりサービスの他、こんなものも配られました。
3社の中では一番値段が高かったが、上陸ツアーだけでなく軍艦島デジタルミュージアムの入館料込の値段だと考えれば安い!今回利用した3社の中で全額クレジット払いができたのはここだけ。ただし、事前決済が必要で、当日は自動受付機に届いたQRコードをかざして手続きを行う。船の乗り場と受け付け場所は全然違うので注意。ツアーのランクは3ランクあって一番安いのが私が利用したスタンダード。プレミアムやスーパープレミアムは船の席は2階の指定席となっている。また、受付場所から乗船乗り場まではスタッフの案内付きだし、上陸時は一番初めに上陸できるといった至れり尽くせりの内容になっている。しかし、その分価格は高くなる。スタンダードであれば5000円だが、スーパープレミアムは1万円だ。また、土日などの特定日は価格が500円加算されるのも注意が必要だ。さらに4月以降は値上げするとのこと・・・。
指定された時間までに桟橋に行き、乗船開始まで近くの待合室で待機。このあと、受付順?だろうか、チケットに書かれた番号順に乗船開始となる。私は割と早い番号であったので、乗船した際には1階の自由席の座席もほとんど空席で、窓に面した一人席に座ることができたのは幸運だった。途中で飴玉が配られました。体内の糖分が増えることによって、船酔いに効くそうです。そういえば、私があまり船酔いの経験がないのは、もしかすると糖尿病のお蔭かも知れませんねw
さて、上陸前に島を周遊した際にデッキに出て写真を撮りたかったのだが、波が高くて危険と判断したのか離席することができず、仕方なく着席のままの見学でした。
右側の席と左側の席の人たちに公平に見えるよう、周遊は方向を変えて往復しました。
使用した船は200名程度の定員になっているので、参加者数は100名以上いたと思います。多分、3社の中では一番多いかも。なので、上陸は結構タイトです。上下船に時間がかかるし、移動にも時間がかかります。大人数で移動となるので、大多数の人が広場に辿り着くまでの時間も少人数よりかかります。したがって、短時間で移動できるよう係員による誘導もきちんと行われます。スタッフさんは若い人が多く、きちんとマニュアルに沿って誘導されている感じがします。安全面ではかなり安心できるツアー会社という印象を受けました。
上陸中の説明内容や途中のガイドの内容は一番良いと思いました。マイクの音量、音質もよく、聞こえ方も素晴らしかったです。参加者数が多いので、複数個所に分散して係員が同じパネル写真を掲げて見やすくする工夫もありました。なにより、説明の仕方が上手でしたね。名物ガイドと呼んでもおかしくないくらい上手で、専門的な話も交えながら詳しく解説していました。このツアーの前に入った軍艦島デジタルミュージアムの展示物も素晴らしいもので、このガイドの解説も含めると、端島についての知識はこのツアーに参加するだけで得ることができるといっても過言ではないと思いました。
軍艦ミュージアムでは、残念ながら集合写真を撮る時間はありません。時間的に無理なのでしょうね。
帰りの船内では抽選会が行われ、3人の方にグッズがプレゼントされてました。船の中にはモニターが複数台設置されており、そのモニターを活用して映像を流したり、説明に合わせてカメラで対象物を捉え、それを映し出したりして非常に分かり易かったです。
★やまさ海運
3社の中では早期割引が設定されているツアー会社。予定が決まっていたら早く予約することで安価に抑えられる。例えば3カ月以上前に予約すれば3600円だ。でもこの金額だとシーマン商会と同じだね。通常料金は4500円なので、軍艦島デジタルミュージアムの入館料込で5000円という軍艦島コンシェルジュより割高に感じてしまうのは私だけだろうか。乗船料にクレジット払いができるのは評価したいところだが、上陸料の310円のみ現金払いというのが残念。
8時30分現在の受付の様子。
出航が9時15分で少し早めに現地にいったのに、もうこんな状態だった。いや、もう既に乗船している人がたくさんいたので、遅い方だと思う。
3列の支払い窓口があって、うち2列でクレジットカード払いが可能、1列が現金のみの扱いとなっている。この3列で一番スムーズに列が進んだのは、現金払いのみの列だったことは言うまでもない。
なぜかって?
クレジット払いができる窓口では、クレジット処理と現金処理の2つが必要になり、現金のみよりも支払いに手間がかかるのだ。
誓約書とか名簿の届け出も必要なので、持っていない人は事前に違う窓口に並んで入手し、書き込んでから支払いの列に並ぶ必要があり、めちゃめちゃ混雑してました。
さらに、窓口での説明も丁寧で長い。一人一人に少し離れた場所にある乗り場の説明から、施設利用券の説明までしていました。不思議なことに、この会社だけ端島見学施設利用券を発行しており、上陸時に半券をもぎ取る仕組みだそうです。なので、上陸時に必要なので無くさないようにという説明も必要となり、時間がかかります。
外国人の方も多く、私の印象では窓口での受付は3社の中で最悪でした。まあ、土曜日ということもあったのでしょうけれど・・・。
ただし、キャンセル規定は一番良心的だったと思います。
出航前に、海の状況が悪く波が高くて船が大きく揺れることや、上陸できる可能性も低いということがアナウンスされた時に、私は乗船をキャンセルするつもりは毛頭ありませんでしたので他所事みたいに聞き流していたので自信ありませんが、「今下船された場合はキャンセル料無料でキャンセルできます」と言ってたような気がします。
座席は真ん中の席。窓が小さく、さらに遠いので景色の写真もとれず、眺めも良くない。
端島に到着するまでの間、ぼーっと過ごすことにした。
昨日と一昨日のツアーで見ていた景色と替わり映えしないし、説明も音声がプツプツと途切れて耳障りで聞き取りにくく、ちゃんと聞く気にならなかったからだ。
使用した船の旅客定員は221名になっているので、このツアーの参加者数は100名以上いたと思います。ただし往路は2階席に居た人が、波しぶきが掛かるうえに寒いということで、復路は1階に降りてきて座る人がいたので、ツアー参加の人数はある程度減らしていたと思います。
上陸前に見学時は3班に分けますというアナウンスがあり、英語で説明するグループ、受付でシールを渡された人のグループ、そしてシールを持っていない人のグループということでした。結果的には上陸は出来ませんでしたので、グループ分けも実施されませんでした。
波の高さが102cmとか言われた気がします。波高計の基準値は50cm以下なのでまあ、諦めがついた感じです。これが53cmとか言われたら、『誤差の範囲とちゃうか?』ってモヤモヤした気分になったと思います。
実際、上陸できませんと言われた時に周りからは落胆の声が出ていたのですが、暴動までは至りませんでした(笑)
今思えば、みなさん船酔いされていたのではないかと・・・。
本来、上陸できない場合は周遊コースになるのですが、この日は生憎の天候だったので、周遊もできませんでした。軍艦らしい形に見える場所に船を移動させ、そこにしばらくの間とどまり、ただ遠くから端島を眺めて終了です。
あとは帰路につくのみ。
私は、船の後部デッキに立ち、「今後、この島の姿を見にここに来ることはあるのだろうか」と思いながら去り行く端島の姿をずっと見てました。
後部デッキをふと見ると、何人かの乗客がうずくまったり、パイプにつかまってうつむいて立っていました。
従業員が黒いビニール袋を何個か持って運んだりしていました。
これが、カオスの状態っていうものなのか。。。
軍艦島ツアー最大級の船であってもこんな状態になるのなら、初日に乗った小さな船だともっと酷いのかなって思いながら、何ともない自分が好きになりましたw
ともあれ、上陸中の説明内容は不明。途中のガイドの内容は音声が聞き取りにくい状況もあってほとんど聞いていなかったということもあり、評価はできませんでした。ただ、内容が良ければ頑張って聞いていたとおもうんですが、これまで聞いた内容と大差なかったんだと思います。
帰路についたとき、2階席に登ってみました。
寒そうですね。しかも、椅子が濡れていたので、波しぶきが飛んでくるんでしょう。塩水だから、あとでコートが大変なことになりそう。早々に退散しました。
このあと、船内で返金の話がでました。
上陸できなかったので現金で支払った310円の施設見学利用料の返金と、クルーズ料金(私の場合4100円)の10%が戻ってくるそうです。
クレジット払いした皆さんが一斉に押し寄せたら、めちゃめちゃ混雑して払戻に時間がかなりかかるんじゃないのかと思ったので、真っ先に下船して窓口に向かいました。
返金はスムーズでした。
窓口で名前を言って、見学施設利用券を返却したら、予め用意された返金額720円入りの封筒と誓約書の返却、あと割引券が纏められている書類を渡されて終了。
なかなか手際良かったです。
でも乗客はたくさんいましたので、あっという間に返金を求める長い列ができていました。
ちなみに、今日のやまさ海運のツアーは出航したけれど上陸できずということでしたが、他の2社はどうだったのか気になったので調べてみました。
そうしたら、他の2社も同じ結果で、出航したけれど上陸できずでした。午後からの便は軒並み3社とも欠航となっていました。
昨日と一昨日の2日間連続で上陸できていたので、出航したら上陸できるんだと思っていましたが、できないこともあるんだと思い知らされた日でした。
私は3回のクルーズを申込して上陸できたのは2回、出航したけれど上陸できなかったのは1回という成績でしたが、前後を調べてみたらこんな感じでした。
<シーマン商会のブログより>
18日 午前 欠航 午後 欠航
19日 午前 欠航 午後 欠航
20日 午前 〇 午後 〇 この日、シーマン商会で参加
21日 午前 〇 午後 〇 この日、軍艦島コンシェルジュで参加
22日 午前 ▲ 午後 欠航 この日、やまさ海運で参加
23日 午前 ▲ 午後 欠航
24日 午前 欠航 午後 欠航
この一週間、上陸できたのは2日間のみ。Σ(・□・;)
結果論になりますが、寒波が訪れる直前の条件下で上陸できたのは、運が悪かった日程というよりむしろ幸運だった気がします。
以上、利用した軍艦島上陸ツアー3社の印象でした。
おすすめしたいツアー会社ですが、何を求めるかで変わってきますね。
とにかく上陸できればいい、安い方がいいという方はシーマン商会がいいと思います。それなりに少人数でゆったりと過ごせられますし、2階に上れば写真も撮れますしね。集合写真のポイントも高いです。少し豪華に見える上陸証明書とおしぼりも嬉しいサービスでしたよ。デメリットとしては、現金のみの扱いとなるので、当日、現金を持っていくのを忘れずに!! 3600円+310円が必要です。
端島のことを徹底的に知っておきたい、勉強したい、もう少し詳しく知りたい、マニアックな説明を求めたいっていう人は、軍艦島コンシェルジュがいいのではないでしょうか。島を目の前にしているのに席から立つことができないくらい、徹底的に安全面に拘っています(笑)説明の分かり易さはピカイチ。大人数でも、説明はきちんと聞こえますし、パネルも複数枚用意されていてどこからでも見られます。ネットで申し込みが完了し、当日もスムーズに発券できるので、是非早めに軍艦島ミュージアムに行かれて、十分楽しむことをお勧めします。VRによるバーチャル体験や立ち入り禁止場所を見ることができる画像など、見どころがたくさんありました。これらの費用が込みでこの価格だと、高くないです。
上陸しないのがわかっているのならツアーに参加したくないという人だったら、直前キャンセル料が無料?になると思われるやまさ海運に、3か月以上前にネットで申し込むのもありかなって思います。でもキャンセル規定については、自分自身で確認してね。
やまさ海運は今回デメリットばかり目立ってしまいましたが、上陸しなかった場合、10%の返金がいいのか、又はシーマン商会のように高島という別の島に上陸してそこで見学をするのがいいのかで決めてもいいかも。
ただ、私なら10%安くなるよりも行った事がない高島の見学をしたいですがね。
以上、私がおすすめしたい軍艦島上陸ツアーでした。
あ、そうそう軍艦島上陸ツアーはあと2社から出てます。「高島海上交通」と「第七ゑびす丸」です。利用していないので、この2社についてのコメントは無しです。